延岡市「北川湿原」♪日本一の規模ともいわれるコウホネと50種超の絶滅危惧種が息づく里山の湿地【見どころ・アクセス】

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北川湿原付近(延岡市北川町)の空中写真

宮崎県延岡市北川町の家田(えだ)地区と川坂(かわざか)地区に広がる「北川湿原(きたがわしつげん)」♪ 家田湿原(約18ha)と川坂湿原(約2ha)をあわせた約20haの湿地で、50種を超える絶滅危惧種の動植物が確認されています。湿原を代表するのは、黄色い花を咲かせる水草のコウホネ。1000株以上が育ち、日本一の規模ともいわれています。東九州自動車道の北川ICから車で数分という身近な場所に、里山の暮らしに守られてきた貴重な水辺が残っています。

人の営みが守ってきた、里山の湿原

北川湿原の大きな特徴は、高速道路や県道・市道が湿原のすぐ脇を通り、周辺に民家が建ち並ぶ「里地・里山」の水辺であることです。家田川と川坂川は農業用水・排水として使われ、稲作は今も続いています。地元に100年以上続く「溝さらえ」という共同作業が湿原に軽度の攪乱(かくらん)をもたらし、種の保全に大きな役割を果たしているのではないか、と地元の保全団体「川坂川を守る会」は紹介しています。

この地は昭和30年代初めまで稲作が盛んでしたが、ぬかるんだ田んぼは農作業が難しく、機械化も進まないまま耕作放棄が広がりました。昭和50年代にはマコモやオギが生い茂る原野になっていたそうです。その原野が貴重な湿原であると研究者に見いだされたのが平成元年のこと。工業団地の計画が持ち上がるなど紆余曲折を経て、平成14年に「湿地保全」の方針が決まり、「家田・川坂湿原」として広く知られるようになりました。平成22年には家田湿原に「家田の自然を守る会」、川坂湿原に「川坂川を守る会」が設立され、観察会やウオーキング大会などの活動が続けられています。

これまでに次のような指定・選定を受けています。地元ではラムサール条約湿地への登録を目標に保全活動を続けているとのことです(川坂川を守る会)。

  • 祖母・傾・大崩ユネスコエコパーク(移行地域):平成29年(2017年)
  • ラムサール条約湿地潜在候補地:平成22年(2010年)
  • 宮崎県の重要生息地:平成20年(2008年)
  • 日本の重要湿地500:平成13年(2001年)

見どころ① 日本一の規模ともいわれる「コウホネ」

コウホネはスイレン科の水草で、葉はスイレンに似ています。水面に伸びた細長い茎の先に黄色い花を付けます。家田川と川坂川に多く生育しており、延岡観光協会は「1000株以上が生育し、日本一の規模とも言われています」と紹介しています。

花の見られる時期について、川坂川を守る会のQ&Aでは5月〜11月(8月と9月が最盛期、新緑のころと9〜10月がおすすめ)とされています。延岡観光協会の案内では4月から11月です。年によって咲き具合が変わることもあるため、気になる方は延岡市北川総合支所へ問い合わせると安心です。

このほか、キタガワヒルムシロ、セキショウモ、サデクサ、ナガエミクリなど、四季を通じて珍しい水草や植物が見られます。タデ科の植物が広く分布しているのも特徴で、絶滅危惧種のサデクサやナガバノウナギツカミなどが群落をつくり、10月には湿原をピンク色に染め上げるそうです。「キタガワヒルムシロ」や「キタガワユウガギク」と呼ばれる、この地ならではの植物もあります。

見どころ② トンボの楽園と、水辺の生きものたち

北川湿原は「トンボの楽園」とも呼ばれ、40種を超えるトンボが確認されています。そのうち13種は絶滅危惧種です。代表的なのが、イトトンボの仲間のグンバイトンボ。雄の中足と後足の4本に白い葉っぱのようなものが付いていて、それが相撲の行司が持つ「軍配」に似ていることから名前が付きました。3〜4cmほどの小さなトンボで、見られるのは5月から7月ごろ。数が少ないため、出会えるかどうかは運次第とのことです。

水の中には、メダカ、ドジョウ、ナマズ、ゲンゴロウ、アメンボ、イシガメなど、絶滅危惧種に指定された魚や水生生物も日常的に観察できます。ホタルについては、ゲンジボタルが家田地区の「聖坊(ひじりぼう)」で見られ、川坂湿原ではヘイケボタルに数匹出会うことがあるそうです。北川町のホタル観賞は6月初旬で、北川の支流「小川」がおすすめだと川坂川を守る会は紹介しています(小川の記事はこちら)。

北川湿原付近(延岡市北川町)の空中写真
北川湿原付近の空中写真(出典:国土地理院 シームレス空中写真)。マークは川坂川を守る会の公式サイトの地図が示す案内看板の位置です

見られる時期の目安

  • 5月〜11月:コウホネの花(最盛期は8〜9月。延岡観光協会の案内では4月から)
  • 5月〜7月:グンバイトンボ
  • 6月初旬:北川町のホタル観賞(家田地区の聖坊ではゲンジボタル)
  • 10月:タデ科の群落が湿原をピンク色に染める

訪れる前に知っておきたいこと

  • 木道や柵はありません:湿原のエリアは、家田川と川坂川、それらを取り囲む湿地や耕作放棄地の一部です。多くが個人所有地ですので、地主さんや農作業の迷惑にならないようお願いします
  • 足元:地元の共同作業で川沿いを歩けるようにしてあるだけで、ぬかるんだ場所もあります。長く散策する方は長靴があると安心です
  • 動植物の採取は禁止:指定希少野生動植物を捕獲・採取すると、宮崎県条例により罰せられることがあります
  • マムシに注意:春から秋にかけては草むらにマムシがいます
  • トイレはありません:道の駅 北川はゆまを利用してからお出かけください
  • 駐車場:家田湿原は「やまんはな橋」そばの空き地(市有地)が10台程度。川坂湿原は「万田橋(まんだばし)」脇の農道で、農作業に支障のないようご協力を。延岡観光協会の案内では「駐車場なし(道路脇の空き地等を利用)」とされています
  • ガイド:湿原のガイドを希望する方は、川坂川を守る会の公式サイトに案内があります

家田湿原が今のように家田川沿いを歩ける姿になったのは、地元・家田地区の方々が毎年の草刈りを続けてきたおかげだといいます。冷たい水に腰まで浸かる溝さらえ、冬の野焼き、特定外来植物オオフサモの駆除など、作業はすべてボランティアとのことです。湿原におじゃまする際は、そうした地道な活動にも思いを寄せてみてください(家田の自然を守る会)。

基本情報

名称北川湿原(きたがわしつげん)/家田湿原(えだ)・川坂湿原(かわざか)の総称
所在地宮崎県延岡市北川町(家田地区・川坂地区)
面積約20ha(家田湿原18ha・川坂湿原2ha)
主な見どころコウホネ(1000株以上)、トンボ(40種超)、絶滅危惧種の動植物(50種以上)
見頃の目安コウホネは5月〜11月(8〜9月が最盛期)、グンバイトンボは5月〜7月、タデ科の群落は10月
駐車場家田湿原:「やまんはな橋」そばの空き地(市有地)10台程度
トイレ湿原周辺にはなし(道の駅 北川はゆまを利用)
お問い合わせ延岡市北川総合支所 地域振興課 0982-46-5010

※2026年10月時点で、延岡観光協会「北川湿原・コウホネ」、北川湿原(家田・川坂湿原)川坂川を守る会 公式サイト(湿原の概要・アクセス・Q&A・家田の自然を守る会)の記載を確認しています。川坂川を守る会のサイトは情報の更新が少ないため、最新の状況は延岡市北川総合支所へご確認ください。

アクセス

  • 車:東九州自動車道 北川ICから約3〜5分。道の駅 北川はゆまから案内標柱や看板に従って進みます
  • バス:宮崎交通 延岡バスセンターから「熊田行き」で約25分、長井大橋バス停下車、徒歩約10分(川坂川を守る会の案内。運行状況は事前にご確認ください)
  • 鉄道:JR日豊本線 延岡駅から普通電車で約12分、日向長井駅下車、徒歩約20分(本数が少ないとのことです)
  • あわせて立ち寄り:道の駅 北川はゆま、小川、祝子川渓谷

地図

下の地図のピンは、公式サイトが案内する「案内看板」の位置です。湿原の範囲は看板の周辺に広がっています。

こんな人におすすめ

  • 里山の湿地で水草や水辺の生きものを、静かに観察したい方
  • コウホネやトンボ、珍しい水草の写真を撮りたい方
  • 道の駅 北川はゆまを拠点に、小川や祝子川渓谷など北川町の自然を巡りたい方

まとめ

北川湿原は、農業の営みと地元の人びとの手入れによって守られてきた里山の湿原です。日本一の規模ともいわれるコウホネ、40種を超えるトンボ、秋にはピンク色に染まる水辺と、季節ごとに違う表情を見せてくれます。木道などの整備はなく、湿原は私有地も多いため、マナーを守って静かに歩いてみてくださいね♪

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北川湿原付近(延岡市北川町)の空中写真

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