諸塚村「黒岳」♪標高1,455mの村最高峰・キレンゲショウマと日本南限の福寿草が咲く植物の宝庫【見どころ・アクセス】

📖 読了目安: 約9分

黒岳 の空撮
アイキャッチ画像: 国土地理院 シームレス空中写真を加工して作成

宮崎県東臼杵郡諸塚村の西部、椎葉村との境にそびえる「黒岳(くろだけ)」♪ 標高1,455メートル、村のシンボル・諸塚山(1,341.6m)をしのぐ諸塚村の最高峰です。

宮崎県のレッドリストに掲載されている植物が26種類も生育する希少植物の宝庫で、かつては日本最大規模といわれたキレンゲショウマの群生地、村内最大のブナ原生林、そして日本の南限とされる福寿草の群生地まで。九州各地の登山愛好家が密かに憧れる山です。

この記事のポイント

  • 標高1,455m、諸塚村の最高峰。レッドリスト掲載植物が26種
  • キレンゲショウマの群生地、村内最大のブナ原生林、日本南限の福寿草
  • 登山口への道は土砂崩れで車両通行止め。最新状況を確認

※重要: 現在、登山口広場へ向かう道は土砂崩れのため車両通行止めとなっています。詳しくは記事後半の「アクセス」をご覧ください。

山並みと雲海、展望デッキのある山頂のイメージイラスト
イメージイラスト(実際の景観とは異なります)

レッドリスト26種。県の「重要生息地」に指定された植物の宝庫

黒岳がただの高い山ではないのは、そこに息づく植物の顔ぶれを見れば分かります。諸塚村観光協会によると、黒岳にはレッドリストに掲載されている植物が26種類も生育。

モロツカミツバツツジ、チョウセンキンミズヒキ、マンシュウハシドイ、クサタチバナ、ヤマホオズキ、クロフネサイシンなど、名前を聞くだけで胸が高鳴る顔ぶれが並びます。

この価値が認められ、黒岳は平成22年(2010)3月、宮崎県野生動植物保護条例に基づく「重要生息地」の指定を受けました。

登山口までの道中では、ウワミズザクラの新種「モロツカウワミズザクラ」も見られましたが、道中の個体は2022年9月の台風により倒れてしまったとのことです。

キレンゲショウマ ― かつて日本最大規模といわれた群生

黒岳を語るうえで欠かせないのがキレンゲショウマ。夏に淡い黄色の花を咲かせる希少な植物で、黒岳の群生は過去には日本最大規模といわれ、宮崎県の重要生息地指定の大きな理由にもなりました。

しかし近年は鹿の食害によって数を減らし、現在は厳重なネットの中で保護されているため、以前のように気軽に見ることはできなくなっています。

そのかわり、年に一度、8月の花の時期に鑑賞ツアーが開催されています。どうしても見たいという方は、開催情報を諸塚村観光協会でチェックしてみてください♪

ブナの原生林、鍾乳洞、そして日本南限の福寿草

山頂付近には村内最大のブナの原生林が広がり、秋には黄金色に染まったブナの巨木が登山者を迎えます。山頂手前には展望台があり、そこからの眺望も黒岳の楽しみのひとつ。

山中には黒岳神社も祀られています。石灰岩質の山ならではの、小さいながらも鍾乳洞が発見されているのも黒岳ならでは。

そして麓の紋原(もんばる)集落には、九州では極めて稀な福寿草(シコクフクジュソウ)の群生地があり、群生地としては日本の南限とされています。まだ寒さの残る冬から早春にかけて、落ち葉の中から鮮やかな黄色の花が顔を出す光景は格別ですよ。

黒岳・四季の見どころ

春ヤマシャクヤク、クサタチバナ
夏キレンゲショウマ、シコクママコナ、ヒナノウスツボ、ツクシクサボタン、イケマ、ミヤマタニソバ、ジャコウソウ
秋紅葉(山頂手前の展望台からの眺望、ブナの巨木の黄葉)
冬シコクフクジュソウ(黒岳のふもと・紋原地区)
通年クラマゴケ、黒岳神社、展望台、ブナの巨木
黒岳 の見どころまとめ
黒岳 の見どころまとめ(0982ナビ作成)

基本情報

名称黒岳(くろだけ) ※諸塚村の黒岳
所在地宮崎県東臼杵郡諸塚村西部(椎葉村との境)
標高1,455メートル(諸塚村の最高峰)
指定宮崎県野生動植物保護条例に基づく「重要生息地」(平成22年3月)
見どころレッドリスト掲載植物26種/キレンゲショウマ(保護ネット内)/村内最大のブナ原生林/紋原集落の福寿草群生地(日本の南限)/石灰岩質の鍾乳洞/黒岳神社・展望台
登山口国道503号の「宮の元」バス停から車で約30分上った村道沿いに登山口広場 ※現在は土砂崩れのため車両通行止め
電話0982-65-0178(諸塚村観光協会/しいたけの館21内)
営業時間(しいたけの館21)10:00〜17:00(水曜定休)

※最新情報はもろつかナビ「黒岳」ページ(諸塚村観光協会公式サイト)でご確認ください。

アクセス ― 現在、登山口までは車両通行止めです

黒岳へお出かけの前に、必ず確認していただきたい大切な情報です。

諸塚村観光協会の案内によると、登山口広場へ至る経路で大規模な崩落が発生しており、車両の通行ができない状態が続いています(2022年10月21日付のお知らせ。復旧の目処は立っていないとされています)。

  • 通行止め区間:黒岳登山口への道は「黒岳湧水」の地点で土砂崩れのため通行止め(当分の間)
  • 徒歩:手前に車を停めて歩いて進むことは可能ですが、そこから登山口までは徒歩で1時間ほど。通行の際は十分にご注意ください
  • 福寿草自生地「紋原」までは通行できますが、小原井(おばらい)地区の猟師藪地域で通行止めによる迂回があります。通行止め看板より右折し、集落の中を通って紋原へお進みください
  • 本記事執筆時点での案内内容です。復旧状況は変わる可能性があるため、お出かけ前に必ず諸塚村観光協会の交通情報ページまたは観光協会(0982-65-0178)で最新状況をご確認ください

なお登山口へ向かう起点となる国道503号の「宮の元」バス停付近には、九州最小のアーチ式ダムとして知られる宮の元ダムもあります。山に入れない時期でも、麓のドライブは十分に楽しめますよ。

黒岳 の空撮
黒岳 付近の空中写真(出典:国土地理院 シームレス空中写真)

地図

開催時期や見頃の目安は、年中行事・イベントカレンダーでも確認できます。

動画で見る

動画:【黒岳】諸塚村のキレンゲショウマ群生地と福寿草【諸塚村最高峰の黒岳】(九州山大学/YouTube)

見どころ・楽しみ方

  • 紋原のフクジュソウ:諸塚村公式サイトによると、七ツ山の紋原地区、標高750メートルの高原にある約1ヘクタールの林の中に自生し、日本で群生する南限とされています。早春の残雪の中で林一面に咲き、国の絶滅危惧種に指定されているほか、村の天然記念物にもなっています。宮崎県の指定文化財一覧にも、「フクジュソウ自生地」(諸塚村七ッ山)が県指定天然記念物(平成25年9月12日指定)として載っています。諸塚村公式サイトでは、旧暦の正月ごろに咲くことから「元旦草」とも呼ばれると紹介されています
  • キレンゲショウマ:諸塚村公式サイトによると、九州・四国・紀伊半島など限られた地域にしか生育しない花で、黒岳の群生は日本最大規模といわれてきたと紹介されています。宮尾登美子さんの小説『天涯の花』の題材にもなっています
  • ブナの原生林:諸塚山と黒岳にはブナの原生林があり、登山道が森の中を縫うように通っています。春の芽吹きから秋の紅葉まで、季節ごとの森を間近に楽しめます

季節ごとの楽しみ方

諸塚村公式サイトでは、毎年10月の紅葉の時期に、地元の主催で「黒岳もみじ祭り」が行われ、九州各地の登山愛好家に人気だと紹介されています。登山口までの道の通行止めが続いているあいだの開催の有無は、事前に諸塚村観光協会へご確認ください。

知っておきたい豆知識

宮崎県が公開している「黒岳重要生息地」の指定書によると、指定された区域は諸塚村大字七ツ山、面積は1,058,087平方メートル(約105.8ヘクタール)、生育環境は森林(ブナ帯)で、県のレッドリスト掲載種が26種とされています。

県が挙げる指定の理由は2つあります。ひとつは、県内ではこの地域でしか確認されていない植物をはじめ、多数の希少な野生植物が生育していること。もうひとつは、地区の住民が、黒岳に祀られた祠への参道や登山道を整えるための道普請を定期的に行うなど、自主的な保護活動を続けてきたことです。

同指定書では、保護の方針として、ブナ帯の植生を保つために、シカの食害を抑え、外来種の植物を取り除き、園芸植物の植栽をしないことが示されています。地域住民による草刈りなどの保護活動を植物に支障のない時期と方法で続け、シカの防護柵を設けることも盛り込まれています。

「重要生息地」は、宮崎県野生動植物の保護に関する条例第23条にもとづく制度です。県のサイトによると、令和8年2月26日現在、県内で16か所が指定されており、黒岳の指定は平成22年3月15日です。選定では、地域住民による保護活動が行われていることも考慮されます。

よくある質問

黒岳には希少な植物がどのくらいあるのですか?

宮崎県の指定書によると、県のレッドリストに掲載されている植物が26種あります。諸塚村公式サイトも、宮崎県のレッドデータブックに掲載されている植物が26種生育すると紹介しています。くわしくは上の「知っておきたい豆知識」の節をご覧ください。

「重要生息地」とはどんな制度ですか?

県のサイトによると、野生動植物の保護のために重要と認める生息地を、宮崎県が「重要生息地」として指定する制度です。黒岳の指定日や面積など、くわしくは上の「知っておきたい豆知識」の節をご覧ください。

フクジュソウはいつごろ咲きますか?

諸塚村公式サイトによると、早春の残雪のころです。くわしくは上の「見どころ・楽しみ方」の節をご覧ください。

こんな人におすすめ

  • 希少な高山植物(レッドリスト26種)に関心がある方
  • キレンゲショウマ・福寿草など季節の花を見たい方
  • ブナ原生林や鍾乳洞など自然観察が好きな方
  • 事前に最新の通行止め状況を確認した上で計画を立てられる方

まとめ

標高1,455メートルの黒岳は、諸塚村の最高峰であると同時に、レッドリスト26種を抱える希少植物の宝庫。かつて日本最大規模といわれたキレンゲショウマ、村内最大のブナ原生林、日本南限の福寿草群生地——山ひとつにこれだけの宝物が詰まっている場所は、そう多くありません。

ただし現在は登山口までの道が土砂崩れで車両通行止めとなっています。訪れる前には必ず諸塚村観光協会(0982-65-0178)で最新の道路状況を確認し、無理のない計画でお出かけくださいね♪

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黒岳 の空撮

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