宮崎県西臼杵郡日之影町に、廃線となった旧高千穂鉄道の橋が2つ、国の重要文化財として残っています。
「旧綱ノ瀬橋梁(きゅうつなのせきょうりょう)」と「旧第三五ヶ瀬川橋梁(きゅうだいさんごかせがわきょうりょう)」♪ 大小43連のコンクリートアーチが続く橋と、鋼製トラスとコンクリートを組み合わせた橋という対照的な姿をもちます。
令和2年(2020年)に宮崎県初の近代化遺産として国の重要文化財に指定されました。
この記事のポイント
- 旧高千穂鉄道の橋2つが、令和2年(2020年)に国の重要文化財に
- 旧綱ノ瀬橋梁は橋長約417.8m。大小43連のコンクリートアーチ
- 旧第三五ヶ瀬川橋梁は橋長約268m。鉄橋の上を歩ける
43連のコンクリートアーチが連なる旧綱ノ瀬橋梁
旧綱ノ瀬橋梁は、延岡と日之影を結んだ日之影線(のちの高千穂鉄道)の鉄道橋で、昭和12年(1937年)に完成しました。
鉄筋コンクリート造のアーチ橋で、橋長は約417.8m。五ヶ瀬川の支流・綱ノ瀬川にかかる大アーチは、鉄道橋として当時最大の支間(スパン)45mがあり、その前後に42連の小アーチが連続しています。

土木学会西部支部の紹介によると、この橋は延岡市北方町と日之影町の境を流れる綱ノ瀬川と五ヶ瀬川の合流点に架かり、橋脚は白い岩盤の上に立っています。川の屈曲に沿ってアーチの列が整然と並ぶ姿は、壮観でありながらリズミカルな景観として紹介されています。
橋の北東約140mには槇峰大橋が架かり、新旧の橋が並ぶ眺めも見どころです。
鋼製トラスとコンクリートを組み合わせた旧第三五ヶ瀬川橋梁
旧第三五ヶ瀬川橋梁は、昭和14年(1939年)ごろに完成した橋長約268mの橋です。鋼製トラス橋と、我が国初とされる連続方杖(ほうづえ)ラーメン構造などを組み合わせ、整ったカーブを描きます。
高千穂峡へと続く渓谷の入口に架かる橋で、鉄道橋としての鉄筋コンクリート造の方杖ラーメン橋は戦前には珍しい構造でした。学会では、パリのセーヌ川に架かるサンミシェル橋に劣らないという評価も得ているそうです(みやざき観光ナビ)。

現在、この橋のかつての線路は日之影町の森林セラピー「TR鉄道跡地散策コース」として整備され、鉄橋の上を歩くことができます(日之影町観光協会)。コース全体の見どころや歩き方は、日之影町「TR鉄道跡地散策コース」でくわしく紹介しています。

鋼材の使用が制限されるなかで生まれた「最先端の橋」
文化庁の「文化遺産オンライン」によると、2つの橋は、鋼材の使用が制限される中で鉄道省が当時の最先端の技術を駆使して完成させたもので、近代コンクリート構造物の技術的到達点の一つを示すと評価されています。令和2年(2020年)12月23日に「旧綱ノ瀬橋梁及び第三五ヶ瀬川橋梁」として国の重要文化財に指定されました。
橋を通っていた高千穂鉄道は、平成17年(2005年)の台風14号で一部の鉄橋が流失する被害を受け、平成20年(2008年)12月28日に廃止されました(土木学会西部支部)。列車が走らなくなった今も、2つの橋は文化財として大切に残されています。
訪れる前に知っておきたいこと
- 旧綱ノ瀬橋梁は延岡市と日之影町の境にあります。見学できる場所や立入りできる範囲は変わることがあるため、お出かけ前に日之影町観光協会(0982-78-1021)へご確認ください
- 鉄橋の上を歩ける旧第三五ヶ瀬川橋梁は、TR鉄道跡地散策コースの途中にあります。コース上には一般道と共用する区間やトンネルがあるため、詳しい注意点はTR鉄道跡地散策コースの記事もご覧ください
- 山あいのエリアのため、天候や足元に応じた服装・靴でお出かけください
基本情報
| 名称 | 旧綱ノ瀬橋梁(きゅうつなのせきょうりょう)・旧第三五ヶ瀬川橋梁(きゅうだいさんごかせがわきょうりょう) |
|---|---|
| 所在地 | 旧綱ノ瀬橋梁:宮崎県西臼杵郡日之影町七折(延岡市との境)/旧第三五ヶ瀬川橋梁:日之影町(みやざき観光ナビの表記は日之影町分城) |
| 指定 | 国指定重要文化財(令和2年12月23日、「旧綱ノ瀬橋梁及び第三五ヶ瀬川橋梁」として) |
| 橋長 | 旧綱ノ瀬橋梁:約417.8m(鉄筋コンクリート造・43連アーチ)/旧第三五ヶ瀬川橋梁:約268m(鋼製トラス橋と連続方杖ラーメンなど) |
| 竣工 | 旧綱ノ瀬橋梁:昭和12年(1937年)/旧第三五ヶ瀬川橋梁:昭和14年(1939年)ごろ |
| お問い合わせ | 日之影町観光協会 0982-78-1021 |
| アクセス | 旧第三五ヶ瀬川橋梁:日之影町役場から車で約10分/旧綱ノ瀬橋梁:日之影町役場から車で約20分 |
※2026年9月時点で、日之影町観光協会(旧綱ノ瀬橋梁)・同(第三五ヶ瀬川橋梁)、みやざき観光ナビ、文化遺産オンライン(文化庁)、土木学会西部支部の記載を確認しています。見学の最新情報は日之影町観光協会でご確認ください。
アクセス
地図
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知っておきたい豆知識
日之影町の公式サイトにある「日之影町の歴史」の年表には、鉄道と2つの橋にかかわる出来事が次のように記されています。
- 昭和47年(1972年)7月:国鉄高千穂線が開通
- 平成元年(1989年)4月:高千穂鉄道が第三セクターで営業を開始
- 平成17年(2005年)9月:台風14号で役場庁舎が浸水し、TRの鉄橋2本が流出するなど、町内各地で被害。12月にはTR高千穂鉄道が第三セクターでの存続を断念
- 平成20年(2008年)12月:高千穂鉄道の廃止が確定(高千穂〜槇峰間)
- 平成22年(2010年)11月:第三五ヶ瀬川橋梁が土木遺産に認定
- 令和2年(2020年)12月:旧第三五ヶ瀬川橋梁・旧綱ノ瀬橋梁が国の重要文化財に指定
文化庁の「国指定文化財等データベース」では、2つの橋は「旧綱ノ瀬橋梁及び第三五ヶ瀬川橋梁」として1件にまとめて、種別「近代/産業・交通・土木」の重要文化財として掲載されています。指定年月日は2020年12月23日です。
よくある質問
重要文化財に指定されたのはいつですか?
文化庁の国指定文化財等データベースによると、令和2年(2020年)12月23日です。
高千穂鉄道はいつ廃止されたのですか?
日之影町の公式サイトの年表によると、平成20年(2008年)12月に、高千穂〜槇峰間の廃止が確定しました。経緯は、本文の「知っておきたい豆知識」をご覧ください。
土木遺産には、いつ認定されたのですか?
日之影町の公式サイトの年表には、平成22年(2010年)11月に、第三五ヶ瀬川橋梁が土木遺産に認定されたと記されています。
旧綱ノ瀬橋梁へは、公共交通機関で行けますか?
宮崎県公式観光サイト「みやざき観光ナビ」の「旧綱ノ瀬川橋梁」の紹介によると、JR延岡駅から宮崎交通のバス(高千穂行き)で約1時間、青雲橋バス停で降りたあと、車で約30分です。駐車場は「なし」と案内されています。所在地は日之影町大字七折梁﨑です。
こんな人におすすめ
- 鉄道遺産・土木遺産に興味がある方
- 廃線跡を歩くTR鉄道跡地散策コースを楽しみたい方
- 43連のアーチが連なる景観を写真におさめたい方
まとめ
旧綱ノ瀬橋梁と旧第三五ヶ瀬川橋梁は、戦前の鉄道技術の粋を今に伝える、日之影町を代表する近代化遺産です。43連のアーチが連なる橋の姿と、鉄橋の上を歩ける旧第三五ヶ瀬川橋梁の体験は、鉄道ファンはもちろん、風景や土木遺産が好きな方にもおすすめです♪
散策コースや温泉、周辺の名橋とあわせて、日之影町をゆっくり巡ってみてください。


