宮崎県東臼杵郡諸塚村、耳川水系・柳原川(やなぎはらがわ)に築かれた「諸塚ダム」♪ 高さ59メートルのこのダムは、堤体の内部が空洞になっている「中空重力式コンクリートダム」という珍しい形式で、九州地方ではここ1基だけという貴重な存在です。
さらに、九州で初めて揚水発電を行った水力発電所「諸塚発電所」の上部調整池という重要な役割も担っています。国の登録有形文化財である塚原ダムとあわせて、ダム好きにはたまらない諸塚村のダムめぐりへ出かけてみませんか♪
この記事のポイント
- 九州でただ1基の中空重力式コンクリートダム。堤高59m
- 九州初の揚水発電を行う諸塚発電所の上部調整池
- ダムカードは「しいたけの館21」で配布。現地の写真を提示

九州でただ1基。中身が空洞の「中空重力式コンクリートダム」
諸塚ダムの最大の特徴は、そのダム型式にあります。九州電力の公式資料によると、諸塚ダムは中空重力式コンクリートダム。
これは堤体の内部をあえて空洞(中空)にすることでコンクリートの使用量を減らしつつ、必要な重さと強さを確保するという、高度経済成長期の日本で工夫された形式です。
この形式のダムは九州地方では諸塚ダムが唯一で、諸塚村観光協会の解説によれば全国でも13基しかないという希少なタイプ。
コンクリートが貴重だった時代の技術者たちの知恵が、そのまま山あいに残されているわけです。ダムの姿を目にしたとき、「この分厚い壁の中が空っぽなのか」と想像すると、見え方がぐっと変わってきますよ♪

九州初の揚水発電を支える「上部調整池」
諸塚ダムがつくる貯水池は、諸塚発電所の上部調整池として使われています。
諸塚発電所は九州で初めて揚水発電を行った水力発電所で、下流の山須原(やますばる)ダムを下部調整池とし、この2つのダムの間で水を行き来させながら最大5万キロワットの電力を生み出します。
揚水発電とは、電気が余る時間帯に水を下から上へ汲み上げておき、電気が必要なときにその水を落として発電する仕組み。いわば「山にある巨大な蓄電池」です。
静かな山里の風景の中に、九州の電力を支える最先端の仕組みが隠れている——それが諸塚ダムのおもしろさです。

見どころは下流面の「スリット」。珍しい下流面開放型
諸塚村観光協会の紹介によると、諸塚ダムの下流面には5か所のスリット(切れ込み)が設けられており、内部の空洞が外から見える「下流面開放型」という珍しい形状になっています。
ただし現在は周囲の木々が生い茂っているため、少し分かりづらくなっているとのこと。訪れた際は、ぜひ下流側からじっくり目を凝らして探してみてください♪
ダムカードは「しいたけの館21」で配布
諸塚ダムにはダムカードがあり、2017年(平成29年)7月21日から配布が始まりました。
- 配布場所:諸塚村観光協会が入る「しいたけの館21」(諸塚村家代3068)
- もらい方:現地のダムを見学したことが分かる写真を提示すると、希望者に1人1枚
- 配布時間:8時30分〜17時(九州電力の案内。しいたけの館21自体の営業時間は10:00〜17:00)
- 定休日:水曜日と年末年始
同じ諸塚村内の宮の元ダムのダムカードも同じ「しいたけの館21」で配布されています(国の登録有形文化財である塚原ダムのダムカードは、特産品販売所「もろっこはうす」で配布されています)。1日でまとめて集めるのも楽しいですよ♪

基本情報
| 名称 | 諸塚ダム(もろつかダム) |
|---|---|
| 所在地 | 宮崎県東臼杵郡諸塚村 |
| 河川名 | 耳川水系 柳原川 |
| ダム型式 | 中空重力式コンクリートダム(九州唯一) |
| ゲート | ラジアルゲート×1 |
| 堤高 | 59メートル |
| 堤頂長 | 149.5メートル |
| 総貯水容量 | 3,484,000立方メートル |
| 本体着工/完成 | 1958年(昭和33年)着工 / 1961年(昭和36年)完成 |
| 管理者 | 九州電力株式会社 |
| 役割 | 諸塚発電所(揚水発電・最大5万kW)の上部調整池 ※下部調整池は山須原ダム |
| ダムカード | しいたけの館21(諸塚村観光協会/0982-65-0178)で配布。配布時間は8:30〜17:00、水曜・年末年始休(九州電力の案内。施設の営業時間は10:00〜17:00)。現地の写真提示で1人1枚 |
| お問い合わせ | 九州電力 日向水力センター 耳川水力整備グループ 0982-53-6410(平日9:00〜17:30) |
※最新情報はもろつかナビ(諸塚村観光協会公式サイト)および九州電力「諸塚ダムカード」ページでご確認ください。
アクセス
- 所在地:宮崎県東臼杵郡諸塚村(耳川水系・柳原川)
- 車:日向市方面からは国道327号で諸塚村へ。村内の道路は山道が中心のため、時間に余裕を持ってお出かけください
- 道路状況:諸塚村内は工事や災害による通行規制が入ることがあります。事前に諸塚村観光協会の交通情報をご確認ください
- ダムカード受取:しいたけの館21(諸塚村家代3068/0982-65-0178)
地図
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知っておきたい豆知識
一般財団法人日本ダム協会が運営する「ダム便覧」によると、諸塚ダムの目的は発電で、型式は中空重力式コンクリートです。ほかにも、諸元として次のような数字が載っています。
- 堤体積:94千立方メートル
- 流域面積:109.1平方キロメートル(直接流域40.6、間接流域68.5)
- 湛水面積:18ヘクタール
- 有効貯水容量:1,260千立方メートル(総貯水容量は3,484千立方メートル)
- 本体施工者:間組
- 位置:左岸の所在地は諸塚村大字家代。北緯32度33分36秒、東経131度19分11秒
ダム便覧は、諸塚発電所を「九州で最初の混合揚水発電所」と紹介しています。
混合揚水とは、汲み上げた水だけでなく川の自然水も利用して発電する方式で、その上部調整池が諸塚ダム、下部調整池は山須原ダムです。
よくある質問
諸塚ダムは何のためのダムですか?
ダム便覧の分類では、目的は発電です。九州電力の諸塚発電所の上部調整池として使われています。
「混合揚水」とは何ですか?
ダム便覧によると、汲み上げた水だけでなく、川の自然水も利用して発電する方式です。くわしくは上の「知っておきたい豆知識」の節をご覧ください。
ダムの工事を担当したのはどこですか?
ダム便覧には、本体施工者として間組が掲載されています。
こんな人におすすめ
- ダムカード収集やダムめぐりが好きな方
- 中空重力式コンクリートダムなど珍しい構造に興味がある方
- 塚原ダム・宮の元ダムとあわせてダムめぐりドライブをしたい方
- 揚水発電など電力インフラの仕組みに関心がある方
まとめ
諸塚ダムは、九州でただ1基という中空重力式コンクリートダムであり、九州初の揚水発電を支える上部調整池という2つの顔を持つ、諸塚村が誇る産業遺産です。
下流面の珍しいスリット、山あいに広がる静かな貯水池、そして「しいたけの館21」で受け取るダムカード。塚原ダム・宮の元ダムとあわせて巡れば、耳川水系の水力発電を支えてきた諸塚村の姿がきっと実感できるはずです♪

